力学整体関連図書のおすすめ本(推薦図書)

礒谷 公良 著 『奇跡の礒谷療法 -自然治癒力を回復する』(ノン・ブック / 祥伝社)

おすすめ度:★★★★★

力学整体の指定教科書(必読書)です。

礒谷療法(礒谷式力学療法)の創始者・礒谷公良氏による一般読者向けの入門書です。

礒谷療法(礒谷式力学療法)の理論を発見し、施術の技術を開発した礒谷公良氏が礒谷療法(礒谷式力学療法)について最もわかりやすく説明してある解説本です。

私の礒谷療法(礒谷式力学療法)との出会いもこの本からでした。この本を読んだときの感動は、いまでも忘れません。当時、私が疑問に思っていたことに対する回答が明快な形で提示されていたからです。現在でも、礒谷療法(礒谷式力学療法)を理解するのには一番よい本だと思います。

また、力学整体を理解するには、この本を必ず読んでいただく必要があります。力学整体の理論は、この本に書かれてある知識が前提となっているからです。

他に出版されている礒谷療法関連の本は、礒谷公良氏の著書を焼き直しているだけなので本書の内容とほとんど同じです。

したがって、一般読者の場合は、本書だけ読めば十分ですので、必ず読んでおくようにしてください。

現在、絶版になっているため書店で入手できませんが、礒谷公良氏の本の中で一般の読者が唯一入手できる可能性のある本です。

アマゾンでは中古本の購入が可能のようです。

また、絶版になっていた『奇跡の礒谷療法』の第30刷が2016年3月24日に発行されたようなので礒谷式力学療法総本部にお問い合わせいただくと入手が可能かもしれません。

礒谷式力学療法総本部の書籍・グッズ目録

峯村 浩 著 『こりと痛みと背骨の曲がり』(三天書房)

おすすめ度:★★★★★

力学整体の指定教科書(必読書)です。

自律整体健康法の創始者・峯村浩氏による一般読者向けの入門書です。

峯村浩氏が自律整体の理論の詳細をわかりやすく説明してくれています。

力学整体を考案することができたのはこの本との出会いのお陰です。この本を読んだときは、自律整体は礒谷療法(礒谷式力学療法)よりも優れているのではないかとという感想を持った驚きは忘れられません。体調不良(不調・不定愁訴・疾病・疾患・病気・症状)と筋肉の関係を理解するには一番よい本だと思います。

力学整体を理解するには、ぜひこの本を読んでいただきたいです。力学整体の理論は、礒谷療法(礒谷式力学療法)と自律整体とが結びついて生み出されたものだからです。

現在、絶版になっているため書店やオークションでも入手が非常に困難になっています。

アマゾンでは以前は中古本の出品があったのですが、現在はページ自体がなくなってしまっています。

公共図書館では「国立国会図書館」「大阪市立中央図書館」「大阪府立中央図書館」「宮崎県立図書館」の蔵書にあるようです。

CiNii Booksの「大学図書館で本をさがす」によれば「筑波技術大学 附属図書館 視覚障害系図書館」が所蔵しているようです。

国立国会図書館サーチで探す
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CiNii Booksで探す

小滝 透 著 『ヒトはなぜまっすぐ歩けるのか―「めまい」とバランスを科学する』(第三書館)

ヒトはなぜまっすぐ歩けるのか―「めまい」とバランスを科学する

おすすめ度:★★★★★

力学整体の指定参考図書です。

本の内容が平衡生理学という専門分野なので、一般の読者の中で興味や関心のある方だけ読まれると良いでしょう。

人類が直立二足歩行という不安定な体勢を維持できるのは、平衡系の適応能力によります。

「めまいはなぜ起こるのか?」という平衡系の適応能力について、平衡生理学の歴史とともに書かれた科学ノンフィクションの本です。

スポーツマンの平衡生理から、めまいとバランス、メニエル病、ムチ打ち症、宇宙酔いまで、めまいの学問を築いた日本人科学者、福田精と桧学の研究を日本の平衡生理学史を通し、様々なエピソードをまじえて、非常に分かりやすく書かれてあります。

力学整体では、この本に書かれてある内容は大変参考になりました。

特に、姿勢反射の問題は姿勢と筋収縮を解明するうえで参考になり、小児麻痺などの場合を考えるうえでも役に立っています。

また、神経解剖学者の平澤興氏による骨格筋支配に自律神経が関与している指摘と、研究グループによる骨格筋の深部受容器(筋紡錘)に交感神経繊維を発見し、その存在の確認と証明は、力学整体の理論的な背景としても参考になるものでした。

その研究結果によって、筋の緊張とめまいの深い関係が実証されたのは、力学整体のめまいに対する有効性を考えるのに役立ちました。

岡林 龍之 (著)『アヒムサ健康法―「いのち」は病いを超える』(柏樹社)

おすすめ度:★★★★★

力学整体の指定参考図書です。

自分でできる健康法として詳細に説明してくれていますので、一般の読者の中で健康法や養生法に興味や関心のある方だけ読まれると良いでしょう。

アヒムサ健康法は「アヒムサ=いのちのはたらき」で病気を治し、健康をつくる超ユニークな健康法です。

「統一法」「活点操法」「体操法」の三法を自在に活用し、癖直しから病気治しをはかる根本療法です。

自分で、家族で皆でやれ安全で、無理なく気持ちよくそれでいて、効果があるとい健康法です。

力学整体との関係では、「アヒムサ健康法」「アヒムサ家庭療法」にも取り入れられていて、両書でも紹介されている「人間科学協会」会長でカイロプラクターの大湊大鑑氏の「短縮側理論」の影響を受けました。

両書では、「アヒムサ健康法」「アヒムサ家庭療法」にも導入していることもあって、大湊大鑑氏の「短縮側理論」について詳細に説明してくれていて、大湊大鑑氏の他の文献が見当たらないので参考になりました。

大湊大鑑氏の「短縮側理論」は、力学整体の股関節と体縮・体癖の関係を理論化・体系化するのに役立ちました。

現在、絶版になっているため書店で入手できません。

アマゾンでは中古本の購入が可能のようです。

岡林 龍之 (著)『アヒムサ家庭療法―「いのち」をつなぐ』(柏樹社)

おすすめ度:★★★★★

力学整体の指定参考図書です。

家庭でできるように詳細に説明してくれていますので、一般の読者の中で健康法や養生法に興味や関心のある方だけ読まれると良いでしょう。

自分で簡単にでき、また家族が互いに力を合わせて操法し、本人の「いのち」をはげますことで病気退治・健康創りをはかるアヒムサ健康法の修得の手引きと症状別操法の実際を紹介しています。

現在、絶版になっているため書店で入手できません。

アマゾンでは中古本の購入が可能のようです。

松尾 毅 (著)『腹筋運動をすると腰痛になる』(アチーブメント出版)

腹筋運動をすると腰痛になる

おすすめ度:★★★★

力学整体の指定参考図書です。

筋肉トリートメント『MAGIC』の開発者である松尾毅氏による一般読者向けの入門書です。

松尾毅氏は自らのパニック障害克服をきっかけに平成4年整体院「いぎあ☆すてーしょん」を開業したという経歴の持ち主です。

松尾毅氏はアメリカのローレンス・ジョーンズD.Oが開発した手法であるオステオパシーの「ストレイン&カウンターストレイン」の技術をヒントに、筋肉トリートメント『MAGIC』を開発したとされています。

その後、松尾毅氏等はこの筋肉トリートメント『MAGIC』を「ミオンパシー」と名称変更しています。

ただ、新しい名称まで名付けている筋肉トリートメント『MAGIC』や「ミオンパシー」は、オステオパシーの「ストレイン&カウンターストレイン」とほとんど同じではないかとも思え、本書からはどこがどう違うのかがよくわかりません。

筋肉トリートメント『MAGIC』や「ミオンパシー」がオステオパシーの「ストレイン&カウンターストレイン」と違うとするならば、具体的な個々のテクニックが違うということくらいしか考えにくいと思われます。

本書では、「筋肉が強張って痛みを発する仕組み」の知識を元に、「整形外科医が認めた整体師」として独自の理論と知識を展開しています。

松尾毅氏は筋肉の拘縮を「筋肉がロックする」という大変わかりやすい表現をしています。

自動車のシートベルトのロック機能を連想させるもので、一般人にも筋肉の拘縮状態をイメージしやすいと思います。

ただし、生身の生きている人体ではこの筋肉の拘縮はロック状態にあって筋肉の収縮状態が固定してしまっているというよりも、実は慢性的な拘縮状態にある中でも収縮したり弛緩したりを繰り返しています。

したがって、「筋肉がロックする」という表現は筋肉の拘縮を正確に表したものではないではないことは理解しておく必要があるでしょう。

ともあれ、松尾毅氏の「筋肉原因説」は、力学整体と共通認識を共有するものですし、「筋肉拘縮説」の理論は参考になりました。

加茂整形外科医院院長 加茂 淳 (著) 『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』(風雲舎)

トリガーポイントブロックで腰痛は治る!

おすすめ度:★★★★★

力学整体の指定参考図書です。

整形外科医の加茂淳氏による異色の整形外科の分野に関する一般読者向けの入門書です。

「神経が圧迫を受けると、痛みやしびれが生じる」「老化した関節や変形した骨は痛む」「筋肉痛は放っておいても治る」など、従来の整形外科が椎間板ヘルニアや坐骨神経痛、椎間板症、椎間関節症、脊椎分離症、脊椎すべり症、脊柱管狭窄症などの病気や症状が損傷モデルが原因だとする構造異常説の常識に対して異論を唱え、「筋痛症(筋肉スパズム[けいれん]による痛み)」が原因であると異説を主張した最初の医師による本です。

医師の中からもこうした骨ではなく筋肉が原因だとする意見を持たれる加茂淳氏のような人物が登場してきたというのは民間療法の施術家としても心強いものを感じました。

加茂淳氏の「筋痛症(筋肉スパズム[けいれん]による痛み)」は、力学整体と共通認識を共有するものですし、痛みの生理学の理論は参考になりました。

戸澤 洋二 (著) 『腰痛は脳の勘違いだった―痛みのループからの脱出』(風雲舎)

腰痛は脳の勘違いだった―痛みのループからの脱出

おすすめ度:★★★★★

本書は東京都青梅市に在住で電気機器メーカーに勤務する技術士(電気・電子)でサラリーマンの戸澤 洋二(とざわ ようじ)氏が7年間悩まされた腰痛と坐骨神経痛に関する個人の闘病記です。

戸澤洋二氏が7年間にわたる治療期間にドクターショッピングや代替治療院めぐりをした顛末も書かれており、病院や代替治療院の個人治療体験記にもなっています。

その中には、私もお名前や存在だけは存じ上げている治療院や先生もいらっしゃったので、ここにも行かれたのかとちょっした驚きもありました。

戸澤洋二氏はあちこち(あちらこちら)の病院や代替治療でいろいろな治療を受けておられ、腰痛と坐骨神経痛の闘病記や治療体験記の読み物としてもとても面白い内容が書かれてあります。

本書の中で特に印象的だったのは、代替治療院の先生たちが戸澤洋二さんの腰痛と坐骨神経痛は治ると簡単に言い切っている点でした。

戸澤洋二氏は患者として代替治療院の先生たちの言葉の保証を信じるわけですが、戸澤洋二氏の腰痛と坐骨神経痛がなかなか良くならないと先生たちは手のひらを返したような態度と言葉になっていきます。

私はこの整体の仕事に従事するようになってから患者さんに治ると言ってあげたことがないので、同業者として代替治療院の先生たちが自信たっぷりにいともたやすく治ると断言しているのには驚きました。

さて、私が本書の中で最も興味を持ったのは、戸澤洋二氏の腰痛と坐骨神経痛に関する仮説です。

戸澤洋二氏の仮説の中心となっているのはニューヨーク大学医学部教授のジョン・E. サーノ博士の「TMS(緊張性筋炎症候群)理論」の心身症治療プログラムです。

そして、戸澤洋二氏が最後に受けた治療法の中心は加茂整形外科医院の院長で整形外科専門医でリウマチ専門医、心療内科登録医の加茂淳医師が考案された「筋・筋膜性疼痛症候群」に対するトリガーポイントブロック注射、抗鬱剤(坑うつ剤)や坑不安剤の服用、認知行動療法(イメージトレーニングや楽しいことを考え実行すること)を組み合わせた3本立ての治療法です。

戸澤洋二氏は加茂淳医師の加茂整形外科医院で治療を受けたのではなく、実際の治療を受けたのはNTT東日本関東病院(旧関東逓信病院)のペインクリニックで、担当は宝亀彩子医師です。

戸澤洋二氏はトリガーポイントブロック注射だけでなく腰部硬膜外ブロック注射も同時に受けています。

この治療プログラムを受けることで戸澤洋二氏は7年間に及ぶ腰痛と坐骨神経痛が3カ月でほとんど完治したということです。

初版から2年後に出た改訂版では、その後の経過ということで、戸澤洋二氏は時折以前と同様の場所に痛みが出ることを告白されています。

しかし、その痛みは認知行動療法だけで短期間のうちに消えているようです。

戸澤洋二氏はサーノ博士のTMS理論をもとに「I形の痛みの回路」「J形の痛みの回路」「U形の痛みの回路」「痛みのループ(環)」という4種類の痛みの回路の理論を仮説として提起しています。

また、戸澤洋二氏は過去の痛みの記憶がある条件下で発生する「条件反射痛」という後遺症ともいえる症状も仮説の概念として提起しています。

戸澤洋二氏は自らの治療体験から、慢性疼痛の場合は「痛みのループ」に陥っているのであり、この状態から復帰するには脳をリセットし「痛みのループ」から脱出する治療法を選択することが重要であり、それこそが治癒への鍵であると自説を主張しています。

個人の一患者である戸澤洋二氏が提起している仮説は理論として十分納得できるものであり、腰痛や坐骨神経痛などの慢性疼痛のかなりの部分を説明できるものと思われます。

力学整体でも戸澤洋二氏が提起している「痛みのループ」と「脳のリセット」という2つの理論は重要な示唆を与えてくれるものであり、その仮説は支持できるものと考えています。

力学整体では、慢性疼痛の場合は、股関節部の中心として骨格系と筋肉系に働きかけることで脳神経系のネットワークを通じて全身の体縮と体癖を解消する結果、痛みの発生部である部位の筋肉の収縮状態も解除することによって「脳がリセット」され「痛みのループ」から脱出しているものと考えられるからです。

そういう意味からいえば、力学整体は医学とは異なる方法で「痛みのループ」にアプローチできるているものと考えています。

過去の症例では、戸澤洋二氏と同様の症状で改善した方がいらっしゃることから、戸澤洋二氏には力学整体も有効だったのではないかと考えられます。

山田 洋 (著) 『自然形体療法』(ルネッサンスアイ)

自然形体療法

おすすめ度:★★★★

本書は、創始者である山田洋氏による自然形体療法に関する書籍の最新版です。

山田洋氏による書籍としては最後のなる本書は自然形体療法の決定版として位置付けられます。

本書にはこれまでの書籍にはなかった平成20年に新しく開発された治療道具であるMC(マザーキャット)とMCC(マザーキャットクッション)が紹介されています。

これまで一般に書籍として出版されている自然形体療法の本を全部読んできましたが、どの書籍でも自然形体療法の具体的な施術の手技は全く紹介されていませんでした。

したがって、書籍からだけでは判断材料としての情報が不足していて自然形体療法を評価できません。

せっかく書籍で自然形体療法を紹介しているのに読者には自然形体療法を理解できるだけの内容が伝わらない結果になっていることは残念です。

しかし、自然形体療法の理論は傾聴すべきものがあります。

自然形体療法では身体の不調や症状にはそれぞれに応じた原因を推理し仮説を立てています。

その中でも、自然形体療法の中心となる理論では、身体の不調や症状の原因として「身体の脳による不要な姿勢の学習」と「過剰警戒反応」の2つがあるとしています。

「身体の脳による不要な姿勢の学習」は、同じ姿勢を繰り返すことで、身体の脳がその姿勢を維持しなければならないと不要な学習をしてしまい、身体の脳がいったん記憶してしまうとその状態を勝手に続けるようになり、筋肉が弛緩せず緊張が続くことになるというものです。

真の原因は、身体の脳の過ちのよって身体の脳が発している不要な命令にあるとしています。

筋肉の緊張状態は、無意識の活動を司っている身体の脳の命令よるものですから、心の脳である自分の意思の力では治すことができないと主張しています。

「過剰警戒反応」は、外敵が現れたり、強い刺激を受けたり、精神的ストレスを受けたりすると、身体は緊張して防御のために身構える体勢をとることになったものとしています。

この緊急時の態勢から弛緩できない状態が無意識のまま続いて癖になり、それが常態になるとその影響が身体の不調や症状として現れてくるとしています。

自然形体療法の原因論は力学整体の理論とも軌を一にするものがあり参考になりました。

山田洋氏はそれ以外にも身体の不調や症状に関してご自身の頭と体験や経験をもとにして考え抜かれ独自の発想のよる原因論を展開していて傾聴すべきものがあります。

本書は自然形体療法をまとめた総集編とかダイジェスト版のような内容なので、はじめて自然形体療法を知るには一番最初に読むべき本と言えるかもしれません。

ただし、これませの書籍にあったような自分独りでできる「自己療法」と独自の筋力トレーニング法である「自己鍛錬法」の具体的はやり方を紹介した図解やイラストは掲載されていません。

「自己療法」と「自己鍛錬法」を知りたければ、別の書籍を見る必要があります。

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