BRM療法関連本
- 吉田 邦夫 (著) 『[新版]手を添えるだけで、骨のゆがみがなおる!』(PHP研究所) | 吉田 邦夫 (著) 『図解手を添えるだけで、骨のゆがみがなおる!』(PHP研究所)
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おすすめ度:★★★
本書は社団法人静岡県療術師協会会長でひまわり健整院院長である吉田 邦夫(よしだ くにお)氏が創案した独自の技法「BRM療法(Bone Rhythm Moment療法)」に関するものです。
本書には元東京都監察医務院長で医学博士の上野正彦氏の推薦の言葉が掲載されています。
推薦文を贈られた上野正彦氏は、私が卒業した日本大学法学部法律学科で法医学を担当されていた先生で、私も先生の法医学の講義を選択して聴講していたことがあります。
本書によれば、吉田邦夫氏は雪道で転倒したことがきっかけで、頭を動かしても、腕を動かしても、大きな息をするにも激痛をともなうようになったとのことです。
そして、激痛に悩んでいたある日のこと、入浴中に浴槽の角に頭を乗せところ不思議な感覚を体験したことがきっかけで、手で頭蓋骨や骨盤のリズムを感じることができたといいます。
胸鎖関節に手を添えると頭や腕を動かすときの痛みが大幅に軽減し、さらに手の届く範囲にある仙骨や骨盤、股関節、腰椎、肋骨などの骨格全体に手を添えていくと、筋肉の硬直と関節のゆがみが寛解し、5年間にわたって悩まされた体中の痛みや息苦しさ、頭の鈍重感が雪解けのように消えていったといいます。
この体験がもとになって、従来の骨格矯正法にこの骨動法を組み入れてBRM(Bone Rhythm Moment)療法を考案したということです。
BRM療法の理論の中核となるのは「骨動リズム」です。
全身の骨は毎分6~12回(個人差があります)の固定サイクルで微妙な往復の動きをしているというのです。
これはオステオパシーの頭蓋オステオパシーや頭蓋仙骨療法、カイロプラクティックのSOTにも類似した骨の運動理論があります。
これらの場合、脳脊髄液の流れに関連する頭蓋骨、脳、三層の膜(軟膜、くも膜、硬膜)、脳脊髄液、脊柱、仙尾骨などの動きに限定されているのではないかと思われます。
しかし、BRM療法の骨動リズムはそれらに限定されず骨格全体にあるとしている点に独自性があります。
BRM療法の理論的な問題はまさにこの骨動リズムにあります。
骨動リズムの現象は事実なのかという点です。
全身の骨が動いている事実はないとする見解が考えられるからです。
そこは骨動リズムを知覚でき感じ取れる人しかわからない部分ということになります。
たとえ骨動リズムを感じられたとしてもそれは脈拍(脈搏)の波動とか皮膚や筋肉系の微妙な動きと勘違いしているのではないかという意見も考えられます。
もし骨動リズムが事実だとしたら大発見ということになります。
手技療法の場合、たとえ理論が正しくなくても、別の理論的な機序で有効性が認められることがよくあります。
したがって、理論だけを見て、その療法の価値や効用の判断はできません。
次に、技術面では、BRM療法のテクニックは骨の歪みがある部位に手の重みを加えるだけの快適圧で直接矯正する方向へ移動するように誘導する1つのソフトな手法にパターン化されています。
このようはソフトな手技で本当に効果があるのだろうかと思えるほどテクニックとしては非常にシンプルです。
このテクニックならたとえ効果がなかったとしても危険性は極めて低といえるのが大きな特徴といえます。
しかも、たとえ骨動リズムがわからなくても手技通りに実行すれば効果はあるといいます。
ということは、BRM療法の施術は骨動リズムに合わせないでも効果があるということになります。
そうなると、骨動リズムと施術の効果は関係がないということになってしまいます。
BRM療法の理論と実際の施術は骨動リズムで結びついていないことになり、理論と実際の施術は骨動リズムを介在しなくてもいいことになってしまいます。
つまり、BRM療法の理論に骨動リズムは必要ないという結論になってしまいます。
これはBRM療法が抱える大きな矛盾ということになりそうです。
本書は、このBRM療法の手法を一般家庭の素人でも一人あるいはペアを組んで行えるように図解入りでわかりやすく説明してくれています。
本を読みながらBRM療法の手法をかなりのところまで真似できるようになっています。
ただし、本書には説明不足のところや説明のおかしなところがいくらか見受けられます。
本書に従ってBRM療法を行う場合は、この点の注意が必要です。
私はBRM療法での施術体験や治療体験、臨床経験がないので、その私が本書の評価をするには無理な面があります。
それでも、BRM療法は面白い療法だとは思います。
どの手技療法でも同じですが、やはりBRM療法の効果には個人差があるだろうとも思います。
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