人間関係関連本
- アービンジャー インスティチュート (著), 金森 重樹 (著), 冨永 星 (著) 『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(大和書房)
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おすすめ度:★★★★★
本書はアマゾンでコミュニケーション関連本の中でレビュー数の多い本としてたまたま目に留った本です。
私自身身近な存在である家族と時々衝突することもあり、クライアント様とも人間関係を壊すようなことを言ったりしたりしていないだろうかと反省することがしばしばあります。
そんなとき、自分はコミュニケーション能力が低く、良好な人間関係を築くのが下手なのではないだろうかと思ったりします。
本書を見たとき、コミュニケーションや人間関係に関する問題について何かヒントや解答が得られるかもしれないと直感的に思いました。
それでどうしても読んでみたくなりました。
本書では「箱」という概念を一般的に概説するのではなく企業において業績向上のためビジネスマンが社内での人間関係を良好にするノウハウを学習するために研修を受けるという物語形式になっています。
読者は興味深いストーリーとともに「箱」のことを楽しく学べるというわかりやすい工夫がなされているのが本書の特徴といえます。
本書では本人が相手をどのような人間関係で交流しているかという心理状態や心的態度のことを「箱」という概念で区別しています。
相手に対する意識と関係が「箱」の中にいるか、それとも「箱」の外にいるかで区別しているのです。
「箱」は実在するものではなくもちろん観念なのですが、これは非常にユニークで独創的な捉え方だと思いました。
人間関係における心理状態や心的態度を「箱」で捉えるというアイデアをよく思いついたものだと感心しました。
「箱」の中にいるというと、何か引きこもりを連想するかもしれません。
しかし、「箱」の中にいるというのは、人間関係や社会参加を避けるため自宅や自室にひきこもることではありません。
本書によれば、「箱」の中にいるというのは、決して人間関係を拒絶するという意味ではないのです。
それでは、本書でいうところの「箱」とはいったいどのようなもなのかを知るには本書を読むしかありません。
ところが、本書では「箱」とは何かという意義を定義していません。
そのため、本書を読み始めた当初は「箱」の中にいるとか、「箱」の外にいるということはどういうことなのだろうかとよく理解できなくて戸惑います。
しかし、読み進めていくうちに「箱」の中にいるときはどのような場合かとか、「箱」の外にいるときはどのような場合であるとかの具体的な事例がいろいろ説明されているのがわかってきます。
そのおかげで、「箱」の中にいるときと「箱」の外にいるときがどのような場合であるかが徐々に理解できるようになってきます。
そして、「箱」の概念が人間関係やコミュニケーションをうまくやっていくために有用であることもわかってきます。
自分が「箱」に入っているか、「箱」から出ているかで相手との人間関係やコミュニケーションが大きく変わってしまうことに気づけるようになります
自分も「箱」に入っていたことを気づかされます。
「箱」に入っている自分を反省するとともに、「箱」から出て他者と接することを心がける必要性を痛感するようになります。
これは画期的なことです。
「箱」という1つのキーワードで自分の心理状態や心的態度を認識・検証し行動を転換することも可能にするものだからです。
特筆すべきなのは、いかなる心理学のテクニックを駆使しようとも「箱」に入っていたのでは他者と良好な交流が図れないということです。
そいう意味では、人間関係のコミュニケーションの心理学、接遇や接待、接客などのテクニックよりも先立つ重要な人間関係とコミュニケーションの前提となる心得といえます。
それは人間関係やコミュニケーションの根本的な心理状態と心的態度ともいえます。
それほど重要な人間関係とコミュニケーションの心構えが本書には書かれています。
本書は人間関係やコミュニケーションで悩んでいる人だけでなく、より良好な人間関係やコミュニケーションを築きたいと願う人までぜひ読んでおきたい書物といえます。
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- アービンジャー・インスティチュート (著), 門田 美鈴 (翻訳) 『2日で人生が変わる「箱」の法則』(祥伝社)
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おすすめ度:★★★★★
本書は「箱」本シリーズの第二弾です。
前書『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を読んでいて、カリスマ経営者として登場したルー・ハーバートが受けたセミナーというのはどのようなものであったのだろうかと疑問を持ち、そのセミナーのことを知りたいと思っていました。
本書はまさに私の疑問の答えるかたちで、20年前にルー・ハーバートが受講した2日間の「奇跡のセミナー」のことが書かれていました。
前書に続いて本書も読むことでさらに「箱」の理解を深めることができたと思います。
前書では曖昧だった「箱」の実体が、本書では「箱」というのは他者との関係の比喩にすぎないと「箱」の概念を明らかにしてくれています。
私はこの文章を読んで、やはり「箱」は実体ではなく比喩だったのだと改めて確認することができました。
また、「箱」は相手との関係の比喩なので、相手によって「箱」の内側にも外側にも同時にいられることを明らかにしてくれています。
本書では新しく自己正当化のかたちとして、他人を劣ったものと見てしまう「優越の箱」と自分が正しいと思いがちな「当然の箱」と相手の反応が気になり正しいことができなくなる「体裁の箱」と自分はダメな人間だからと人とうまくやれないことの言い訳をしてしまう「劣等感の箱」という4種類の箱の分類方法が紹介されています。
この4種類の「箱」の分類は、単に象徴的なものであって、自己正当化の問題を正確に考えさせてくれるものにすぎないと言っています。
前書では企業や会社など組織における人間関係を中心に、家族との人間関係も箱で説明されていました。
本書では家族を中心にしながらも、個人対個人の人間関係を超えて国家対国家、民族対民族、人種対人種という人間関係をも「箱」で説明しています。
「箱」の内側にいる場合は相手との闘争になりますが、「箱」の外側にいる場合は自分の心の平和が得られる効用や効果があることも説明してくれています。
人間関係でトラブルを起こした場合、自分が「箱」に入っているかもしれません。
もしそうなら、人間関係のトラブルを回避するためには自分が「箱」を脱出する必要があります。
本書はその気づきを与えてくれます。
前書『自分の小さな「箱」から脱出する方法』に引き続いて、本書も良好な人間関係やコミュニケーションを築くために読んでおきたい書物としてあげたいと思います。
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