タレント関連本
- 角岡 伸彦 (著), 西岡 研介 (著), 家鋪 渡 (著), 宝島「殉愛騒動」取材班 (著) 『百田尚樹『殉愛』の真実』(宝島社)
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おすすめ度:★★★★★
私はほとんど芸能人や有名人などのタレント本を読んだことはありません。
それなのに今回本書を読むことになったのには理由があります。
それは、百田尚樹氏が書いたノンフィクション作品といわれる『殉愛』の2014年11月7日の発売日にTBS系列のMBS(毎日放送)の「中井正広の金曜日のスマたちへ」で「2時間SP やしきたかじん」というテレビ番組を見たことに始まります。
歌手のやしきたかじん氏はたかじんさんと親しみを込めてたかじんさんと呼ばれていて、関西の複数のテレビ番組の人気司会者として司会も担当されていて、関西に住むあややと私にとっても馴染みのある芸能人です。
そのやしきたかじん氏が亡くなって、亡くなる前の近況を描いたテレビ番組が放送されるということで、あややが見たいというので私も一緒に見たという経緯がありました。
金スマの番組ではやしきたかじん氏と家鋪さくらさんとの出会いから交際、そしてやしきたかじん氏の闘病と家鋪さくらさんの献身的な看病の記録がドラマ形式で描かれていました。
その番組で描かれていた家鋪さくらさんはやしきたかじん氏にまるで天使のように無償の愛を捧げたという内容でした。
あややも私もその内容を疑いもせず信じていました。
やしきたかじん氏は愛する家鋪さくらさんに看取られて亡くなったのだと思いました。
やしきたかじん氏は亡くなったのだけれども、最後に家鋪さくらさんに本当に愛されて亡くなったのだから幸せだったのではないかと思えました。
百田尚樹氏の『殉愛』に書かれてある内容にも興味を持ちましたが、テレビ番組で本の内容がかなりわかったので買って読むまでもないかとそのままになっていました。
ところが、2015年2月25日に通販サイトのアマゾンで『百田尚樹『殉愛』の真実』という本がベストセラーのランキングに表示されているが偶然目に留まりました。
何より驚いたのは、発売日から2日ほどしか経っていないのに本書のアマゾンのレビュー数が200を超えて300にもなろうかという状況だったことです。
これまでこんな短期間でこれだけのレビューが投稿されたのは見たことがありませんでした。
本の内容として「ミリオンセラー作家・百田尚樹の「殉愛ノンフィクション」、その疑惑とウソを徹底解明! 後妻・さくらは天使だったのか?」という文章が紹介されていました。
百田尚樹氏の『殉愛』の疑惑と嘘・・・。
後妻・さくらは天使だったのか?
私が見た「中井正広の金曜日のスマたちへ」の番組の内容には疑惑や嘘があるのか?
私の見た見た金スマの番組で描かれていた家鋪さくらさんは実像とは違っていたのか?
「中井正広の金曜日のスマたちへ」の番組を見た以上、私は本当の事実を知りたいと思いました。
あややに本のことを知らせると、あややも買って読みたいという返事でした。
それで本書を購入して読むことになったのです。
本書を読み終えて私は驚きました。
あややも同様でした。
百田尚樹氏の『殉愛』で描かれている家鋪さくらさんと、本書で浮き彫りにされている家鋪さくらさんとでは、人物像がまるで正反対だったからです。
また、百田尚樹氏の『殉愛』で書かれている内容と、本書で暴露されている事柄とは全く違っていたからです。
百田尚樹氏の『殉愛』の中で悪役としている描かれている人々もそうではないというのです。
本書で暴かれている事柄が真実だとしたら、百田尚樹氏の『殉愛』で書かれている内容は事実とはいえないことになってしまいます。
そうであるならば、百田尚樹氏は『殉愛』を書いたことで読者から信用を失いかねない致命的なミスや失敗を犯してしまったのではないでしょうか。
『殉愛』を書かなければ、百田尚樹氏はノンフィクションとして書いた作品が事実とは異なる嘘の内容を書いているのではないかという作家として批判されることもなかったのではないでしょうか。
百田尚樹氏はご自身の作家として評価を下げてしまうような形でなぜ『殉愛』という作品を書いてしまったのでしょうか?
それだけでなく、『殉愛』を出版した編集者や出版社も読者からの信用を失いかねないことになってしまっています。
また、家鋪さくらさんは百田尚樹氏にやしきたかじん氏とのことを話して『殉愛』という本を出さなければ、一般の読者から非難されることもなく、ネットやマスコミからご自身の生い立ちや経歴を暴露されることはなかったかもしれません。
どう考えても、『殉愛』を出すことで百田尚樹氏と編集者や出版社と家鋪さくらさんは不利益な結果になってしまったと言えそうです。
まさかこのような結果を予想して『殉愛』を仕掛けて出版したわけではないでしょうから、百田尚樹氏と編集者と出版社と家鋪さくらさん等それぞれの思惑が外れたということになりそうです。
その他、本書ではマスコミの作家タブーの問題にも言及されています。
市場原理が優先される日本においてマスコミは自社の不利益になる場合、自ら事実をねじ曲げたり表現の自由の旗を降ろし表現を引っ込めて沈黙してしまう現状が暴露されています。
市場原理が優先される社会において市民の知る権利を確保するには、当事者と利害関係を有しない多様な媒体の存在が確保される必要性があることもわかります。
それにしても、やしきたかじん氏はさくらさんの人柄や性格などの正体をどうして見抜けなかったのだろうかとか、なぜやしきたかじん氏はさくらさんと結婚してしまったのだろうかなどの疑問が残ります。
その後、家鋪さくらさんに関しては本書に載っていない新しい事実がさらに明らかになっているといいます。
本書の続編が出るのかどうかはわかりませんが、私自身依然としてこの出来事と問題に関心はあり続編を期待したいところです。
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