京極夏彦関連本

京極 夏彦 (著) 『文庫版 姑獲鳥の夏』(講談社、講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

おすすめ度:★★★★

本書は随分前に購入していたが、なかなか読む機会がなくて長らく積ん読にしていました。

それがやっと今回読む機会を得ることができて忘れていた宿題を終えた感じです。

本書を初めて目にしたのは書店の店頭で、現代のミステリー小説の中でも際だって目立つ存在でした。

その頃、ネットで知り合った若い女性から本書がとても面白かったと紹介されました。

彼女は本書のファンだというのです。

それでも、私は今まで読みませんでした。

あれから10年以上は経過しているはずです。

さて、本書の前半では、哲学の主題の一つである「主観と客観」の問題に関して、京極堂こと中禅寺秋彦の口を借りてその(おそらく作者の)思想を述べています。

この辺りの知見は現代的な推理小説だなあと感じ入りました。

主要な登場人物たちのキャラクターも面白いです。

主人公の古書店京極堂の店主で武蔵清明社の神主で祈祷師(陰陽師)でもある中禅寺秋彦をはじめ、京極堂の助手的存在である作家の関口巽、超能力探偵の榎津礼二郎、刑事の木場修太郎などが登場してきます。

推理小説としては知能によるトリックの謎解きの要素は弱いながらも、妖怪などが登場している怪奇現象の事件の種明かし的な要素が強く、私は本書を伝奇小説として位置づけたいと思いました。

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京極 夏彦 (著) 『文庫版 魍魎の匣』(講談社、講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

おすすめ度:★★★★

京極夏彦氏の京極堂こと中禅寺秋彦を主人公とする百鬼夜行シリーズ第1作目の『姑獲鳥の夏』を読んだので、2作目である本書『魍魎の匣』を読むことにしました。

この小説のあらすじは、美少女柚木加菜子が駅から線路に落ち列車に轢かれるという事故であった美少女転落事件を発端として、柚木加菜子殺人未遂、誘拐事件、武蔵野少女バラバラ殺人と箱詰めにされた少女達の四肢、箱を祀る奇妙な霊能者と御筥様、巨大な箱型の建物(建造物)「美馬坂近代醫學研究所」といった一連の謎へと事件は絡まってゆきます。

お馴染みの登場人物である探偵の榎木津と文士の関口、刑事の木場らと新しく登場した雑誌記者の鳥口が事件に関わっていきます。

そして、京極堂という真打ちが登場して事件の謎を解いていきます。

柚木加菜子列車転落殺人未遂事件の犯人は楠本頼子でした。

柚木加菜子誘拐事件は美馬坂幸四郎による医学的な治療でありながら猟奇的な事件でもあり、その真相は驚くべきものでした。

美馬坂幸四郎の肉体がなても脳だけを生きさせる研究、柚木陽子の生い立ちと母親と父親の美馬坂幸四郎との関係、そして柚木加菜子の出生の秘密などが明かされていきます。

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京極 夏彦 (著) 『文庫版 鉄鼠の檻』(講談社、講談社文庫)

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

おすすめ度:★★★★

本書は、京極堂こと中禅寺秋彦を主人公とする百鬼夜行シリーズの第4作目です。

今回の舞台は箱根に所在する、その存在が一般に知られておらず、過去の記録にも残っておらず、京極堂こと中禅寺秋彦ですらその存在を知らない謎の巨刹「明慧寺」です。

テーマは禅宗です。

今回は、シリーズ1作目である『姑獲鳥の夏』の主要登場人物だった久遠寺嘉親が再登場してきます。

仙石桜という旅館に滞在する骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で庭園に忽然と修行僧の屍が出現します。

時を同じくして、取材のため明慧寺を訪れようと中禅寺敦子と同僚の記者・飯窪、鳥口守彦等が仙石楼へとやってきます。

探偵の榎木津は久遠寺老人に捜査を依頼されます。

京極堂は友人からの依頼で埋没した土蔵の「経蔵」を中心とした古書を調べるため箱根山を訪れます。

山中には死んだはずの振袖の童女が出没するという噂が立ちます。

そして、明慧寺の修行僧たちが次々に殺されるという箱根山連続僧侶殺害事件へと発展していきます。

京極堂は坐禅修行をしたことがなく禅体験も持たないことから今回の禅宗の僧侶にまつわる事件に対して消極的です。

京極堂は禅の修行を積む僧侶達に対して禅の門外漢として敬意さえ払っていて、いつもの京極堂らしからぬ態度です。

もちろん京極堂は禅に関する知識は玄人並みに持ってはいるのですけれど、自分自身は禅の体験はないということで禅を語る資格はないという態度なのです。

しかし、最後はやはり京極堂が登場して箱根山連続僧侶殺害事件の謎解きをしてしまいます。

そこで明らかにされた事件の真相は驚くべきものでした。

宗派の所属は不明ながらも、禅寺と考えられていた明慧寺が真言宗の寺院だったとか、貫首は禅の修行をしたことがない真言宗の僧侶だったというどんでん返しがあります。

修行僧たちはそんなことを知らずに明慧寺で禅の修行を行っていたわけです。

そして、明慧寺には影の貫首がいてその人物が明慧寺の実質的な貫首であるということも明らかになります。

影の貫首はあっと驚く人物で、その人物こそ箱根山連続僧侶殺害事件の真犯人だったということも分かります。

殺人の動機は悟った禅僧に対する嫉妬という思わぬものでした。

俗世間で起こる通常の事件では考えられない動機です。

そのことが今回の事件を謎めいたものにしています。

『鉄鼠の檻』では京極堂の口を借りて禅宗についての基礎知識が語られていて、禅宗の入門書にもなっています。

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京極 夏彦 (著) 『文庫版 絡新婦の理』(講談社、講談社文庫)

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

おすすめ度:★★★★

本書は、京極堂こと中禅寺秋彦を主人公とする百鬼夜行シリーズの第5作目です。

今回の物語は事件の関係者全員が個人の自由意志で行動していると思い込んでいるにもかかわらずまるで四方八方に張り巡らされた蜘蛛の糸に搦め捕られ操り人形のように操られているかのように動かされているという犯罪計画が描かれています。

主犯は自ら実行犯や共犯だけでなく教唆犯や幇助犯としても犯行に関与することなくあらゆる場合を想定して実行犯たちが必然的に犯行を犯すよう陰で犯人たちを誘導しているだけで自ら罪に問われないという目潰し魔と絞殺魔の二つの連続殺人事件の完全犯罪を実行しています。

本書では今回の物語の背景としてキリスト教が取り上げられています。

前作では禅宗が背景になっていて、作者は本文中で禅宗に対しては敬意を払っていました。

ところが、本作ではキリスト教に対して厳しい批判的な内容となっています。

作者はキリスト教の歴史における女性の地位や扱い方を問題視しています。

本書にあるようにキリスト教は女性に対する評価が低かったということが過去の歴史上事実であるならば、本書に書かれていることは私も知らなかったことで驚きました。

また、本書で作者は女性差別や女性解放運動、男女平等(男女同権)についてもその問題点を指摘しています。

本書には事件の謎解きだけではなくそうした興味深い内容も盛り込まれています。

過去の作品の中では本作が一番面白いと高く評価する人も多く、それだけに読み応えがありました。

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