認知療法・認知行動療法関連本
- 大野 裕 (著) 『はじめての認知療法』(講談社、講談社現代新書)
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おすすめ度:★★★★
近年になって鬱病(うつ病)や不安障害など心の病に関して認知療法という心理療法が効果的であると紹介されるようになってきています。
認知療法という名前から、その具体的な内容を知らなくてもおおよその内容は類推できることから、以前から知ってはいたのにあまり関心を引かれませんでした。
認知療法は鬱病(うつ病)や不安障害(パニック障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害など)、不眠症、摂食障害、統合失調症など多くの精神疾患に有効であるとされ、精神科や心療内科でも精神医療の標準治療として認められるようなっており、2010年(平成22年)には鬱病(うつ病)に対して診療報酬の対象になり保険適応になりました。
そうした精神医療の流れと私が認知療法を見聞きするようになってからある程度時間が経過したこともあって、そろそろ認知療法のことをきちんと学んでおく頃ではないかと思うようになりました。
それで手始めに認知療法の入門書である本書を読んでみることにしました。
本書を読んでみて、認知療法とはいかなり心理療法かについてかねてからの推測を大きく外れていませんでした。
というか、予想通りでした。
もっとも、これはテレビの医療情報番組などで鬱病(うつ病)の治療法として認知療法を断片的に見聞きしていたおかげかもしれません。
それでも、「自動思考」や「スキーマ」といった認知療法特有の用語や、「認知再構成法(コラム法)」と「行動的技法(行動活性化技法、問題解決技法、アサーション)」などといった具体的な治療法を知ることができました。
ただし、コラム法はやはり医療情報番組である程度知っていました。
本書では、認知療法以外にもリラックス法として「腹式呼吸」と「漸進的筋弛緩法」なども紹介しています。
特に「漸進的筋弛緩法」のやり方は類書の中でもわかりやすいと思いました。
私自身はまだ認知療法を十分に理解しているとは言えませんが、本書は認知療法の入門書としては簡にして要を得ているのではないかと思います。
本書を読む前の認知療法の内容を類推していた頃から、私たちは子どもから大人になってからも人生において現実を体験することで自分の思いや考え、考え方や見方、思い込みや決めつけ、価値観などを修正しながら自分なりに現実に適応したり逃避したりしていることから、私たちは認知療法を知らなくても既に誰でも認知療法を自然に行っているのではないかと考えていました。
今回、本書を読むことでそうした見方は間違っていなかったと確信できました。
そのことから、認知療法は何も精神疾患や精神症状を患っている人だけではなく、一般の方でも認知療法を学ぶことで自分の認知を検討し場合によってはその認知を修正することでより良く生きることにつなげることができるのではないかと考えられるようになりました。
したがって、医療従事者や医療関係者、患者とその家族だけでなく、一般人も認知療法を知っておいたほうが良いと思います。
なぜなら、認知に全く問題がないという人はいないからです。
したがって、一般の読者が認知療法のことを知るために本書を認知療法の入門書として読むことをおすすめしたいと思います。
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- 夏苅 郁子 (著), 小池 梨花 (著), 野村 総一郎 (著), David D. Burns (著), & 4 その他 『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』(星和書店、増補改訂第2版)
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おすすめ度:★★★★★
本書は、発売以来、英語版で300万部以上売れた「うつ病」のバイブルと言われている認知療法の解説書です。
うつ病の患者さん向けに認知療法という新しい精神療法・心理療法を紹介しています。
ただし、本書には認知療法の解説だけでなく、薬の話や脳内のメカニズムなど薬物療法に関しても説明があります。
本書の中で認知療法と薬物療法に関する頁はそれぞれ約半分ずつになっています。
そいういう意味で、本書は認知療法の本だけれども薬物療法についてもかなりの分量を割いて説明がなされている「うつ病」に関する書籍になっています。
私にはうつ病の患者さんが自分で認知療法を学習する独学についてはどうなのか疑問に思うところがありました。
しかし、本書によれば、うつ病は自助が回復の鍵になり得ること、優れた自助本を読む「読書療法(読書治療)」はうつ病に効果があるとともにうつ病の再発予防にも効果があるという調査結果が報告されています。
また、セラピストに対する調査では、自助本の中で本書がうつ病の患者さんに推薦する書の第一位に評価されたという結果も報告されています。
そのことからも、認知療法のことを知りたい、学びたいというのであるならば本書は外せません。
本書の認知療法の関する記述は認知療法をより深く理解できるような内容になっています。
認知療法の知見は何も精神疾患や精神障害のある患者さんだけでなく、普通の人にも役立つ内容があり大変参考になります。
人間である以上、認知にまったく歪みがない人というのはいないはずだからです。
ですから、一般の方にも認知療法が記述されている本書の前半部分だけでも読んでおくことをおすすめしたい。
読書に慣れていない方には認知療法の本格的な解説をしている本書の前半部分を読むだけでも大変でしょうが、日本語の文章としてちゃんと理解できるようにきちんと翻訳されているので読んでわからないということはないはずです。
薬物療法の説明がある本書の後半部分は必ずしも全員の方が読む必要はないでしょう。
読む必要があるとすれば、医療従事者及び医療関係者かうつ病の薬を処方されている患者さんご本人ということになります。
あるいは、患者さんのご家族か親しい間柄にある友人くらいになるでしょうか。
もちろん、うつ病の薬物療法に興味や関心のある方も読まれると良いでしょう。
患者さん本人は自分が処方されている薬の個所だけでも読めば参考になるはずです。
薬物療法に関する記述は、薬学や薬に関する知識がない方には薬の一般名や商品名の多さに覚えられないと混乱してしまうかもしれません。
しかし、一般の方が薬の作用や副作用などを知り、その捉え方や考え方、対処法などを理解するには非常にわかりやすい記述になっています。
薬のことを理解するのに非常に役立つ内容になっています。
薬物療法の本書の後半部分を読むのは薬に馴染みのない方には大変でしょうが、きっと薬の理解が深まるはずです。
一般の方が本書を一度読んだだけで認知療法を完全に理解するのは難しいかと思います。
ですから、本書は一度読んだだけにせず二度、三度を読み返すと良いでしょう。
本書は繰り返し読む価値がある内容が書かれているので決して損はしないはずです。
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